『レクイエム・フォー・ドリーム』
墜ちてく本人は美しいかどうかなんて考えてる余裕はないハズなので(笑)、結局、墜ちる側に回っちゃイカンということだ。みんな、気をつけよう!(笑)
タイトル:『レクイエム・フォー・ドリーム』
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:エレン・バースティン、ジャレッド・レト、ジェニファー・コネリー、マーロン・ウェイアンズ
2000年、アメリカ
ジャンル:シリアス
評価:★★★★☆
ジャンキーの若造たちが墜ちてくだけなら「いつものこと」で終わりなんだが・・・って、「いつものこと」で終わらしちゃうのもどうなんだか(笑)。いや、問題はそこではなく、母親がクスリへの依存の果てに「壊れて」しまうのは見ていて辛い。しかも、この母親はテレビ/過食症/ダイエット/クスリと依存症のフルコース(涙)。最後は冷蔵庫に追い立てられて狂気へまっしぐらだ(笑)。「壊れた」演技も物凄く、ホントに救いようがない。負のオーラ(←黄色)出まくりである。さすがアカデミー女優エレン・バースティン!
その息子役のジャレッド・レトも良かった。この作品のために11キロも体重をおとしたそうだが、冒頭近くのシーンで早くもこのダイエットが効果発揮。ここでは、友達のタイロンとふたり、コーヒーショップのカウンターに腰掛けているのだが、ジャレッドはちょっと猫背で、痩せて骨ばった背中がうすいTシャツを通して浮き上がっている。もう、これだけで、「クスリ以外なにもない」ジャンキー風味満点である(笑)。
俳優たちの熱演に負けじと、監督もありとあらゆる技法で映像を作りまくる。音楽とのシンクロ、クローズアップや顕微鏡写真(笑)をふくむ細切れにされたイメージのリビルド、さらに、映像を早回しにしてみたり、カメラを体に固定してみたり、真っ青な空にそびえる高級マンションを下から見上げてみたり(これはきれいだった)、ポストを真上から撮ってみたり(封書を投函するだけなのにものすごく不安な気持ちになる;笑)、テレビから人が飛び出したり、大道具さんが見切れたり(笑)。しかし、ここまでやられると、この監督もなんか一種の依存症?みたいに思えてくるぞ(笑)。
この映画自体には、救いは何もない。ここから教訓を見出せといわれれば、それは容易だろう。息子が麻薬におぼれているのに「何もおきてない」と現実を直視しない母親、その母親がクスリの中毒になりそうだというのに「孤独だからしかたない」といわれると何もできない息子、自分がデザインした洋服で店を持つという夢を抱く恋人は、その夢の実現のための努力はほうり捨てクスリに逃げる。だから、教訓は、現実を直視し、何を言われても自分が正しいと思うことを為し、夢の実現のために努力しろ、ということだ。でも、思うのは簡単、やるのは難しい。やはり人間は墜ちていくだけの存在なのではないだろうか? もし、そうなら、墜ちることそのものが人間の本質ならば、その本質にこそ美が隠されているのではないだろうか? 墜ちる事そのものが美しいのだ。アロノフスキー監督は、それを過剰な映像で飾りたててみせたが、原作者ヒューバート・セルビー・ジュニアの意図は「墜ちていく美しさ」にあるのかもしれない。
・・・なんて書いてみたが、墜ちてく本人は美しいかどうかなんて考えてる余裕はないハズなので(笑)、結局、墜ちる側に回っちゃイカンということだ。みんな、墜っこちないよう気をつけよう!(ギリギリのところで踏みとどまるってのもいいかも;笑)
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